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朝日新聞データベース【聞蔵】の学外利用期間再延長 3/31まで

【教職員・学生対象】

朝日新聞データベース【聞蔵】の学外利用期間再延長します。(3/31まで)

COVID-19対応のため、図書館は朝日新聞社の協力により、聞蔵Ⅱ(朝日新聞のDB)の利用環境強化(在宅での利用や一時的なアクセス増)を実施しております。
このたび、3月末まで利用期間を再延長いたしました。 是非、ご利用ください。

学外からも、IDとPW(パスワード)で聞蔵Ⅱビジュアル(朝日新聞社)コンテンツにアクセスできます。
※アクセスが集中するとログインできませんので、時間をあけてリトライください。

【聞蔵Ⅱ】URL:http://database.asahi.com/

【申込方法】
 希望者へ別メールで、臨時IDとPWをお送りします。 
 ※既にご利用の方は、今のIDとPWで利用できます。

 ※女子美から付与されたアカウントのメールで、お申込みください。       
       ↓ ↓ ↓
・相模原校地の利用希望者は、info-c@venus.joshibi.jp へ

件名「聞蔵 臨時利用希望」で本文へ所属・氏名を明記して、メールしてください。

・杉 並校地の利用希望者は、info-j@venus.joshibi.jp へ

件名「聞蔵 臨時利用希望」で本文へ所属・氏名を明記して、メールしてください。

・同時アクセス数:10アクセス  ※ご利用後は必ずログアウトしてください。
・ご利用期間:3月末まで延長 (1アクセスは次年度も利用可能)
・ご利用内容:聞蔵Ⅱのすべてのオプションコンテンツが利用できます。

<ご利用上の注意>
・ID、PWは外部に漏れないよう、お取り扱いには十分ご注意ください。
・ID、PWは不特定多数の人が閲覧可能なホームページ等には絶対載せないでください。
・守られない場合、この特別利用は中止となります。
・その他、下記の学外利用・利用規約の順守をお願いします。
 http://www.asahi.com/information/db/pdf_db/2forl/rinji_kikuzo_kiyaku.pdf

【聞蔵Ⅱビジュアル・プレミアムバリューパックの内容】
朝日新聞の明治創刊号から今日まで日本の近現代を通して検索できます。
記事の切り抜き・紙面イメージも見られます。
雑誌、写真、現代用語、英文ニュースのデータベースも搭載。

聞蔵とは 参照URL:http://database.asahi.com/help/jpn/about.html

2020年9月29日

NEW BOOKS 新着情報相模原


9/28  新着図書

【図書館員の注目本】

 『ハプスブルク帝国のアールヌーヴォー建築』
 小谷 匡宏 著/リーブル出版
これまでに90ヶ国を巡った著者による、有名どころから珍しい建築まで、豊富なカラー写真と共に現地の様子もご紹介。


 『まじないの文化史 』
新潟県立歴史博物館 監修/河出書房新社
2016年に新潟県立歴史博物館で行われた「おふだにねがいを―呪符―」。当時の図録をベースに展示には加えられなかった「呪(のろ)い」についても加筆収録。「おふだ」を中心に現代も続く「呪い(まじない/のろい)」の歴史を紐解きます。

 
『身のまわりのものでできる手作りマスク』
寺西 恵里子 著/日東書院本社
ミシンがなくても大丈夫、手縫いでも簡単にマスクが作れちゃいます!あると便利なマスクケースの作り方も掲載。


 『おとめ六法』
上谷 さくら、岸本 学 著/Caho イラスト/KADOKAWA
女性が身を守るために知っておきたい法律を身近な事例を取り上げ分かりやすく説明。自分のことを大切にするためにぜひ読んでほしい、女性に寄り添う法律の本です。


 『リバティプリント、私の着こなし』
May Me伊藤 みちよ著/ブティック社
ブランド“May Me”のデザインを手掛けるソーイング作家による、ソーイングブック。コラムでは使用した柄についての解説を掲載。


 他全32冊


↑ 書名をクリックで資料情報をチェック♪ ↑

 

https://lib.joshibi.ac.jp/opac/category/1/1

↑ カテゴリー検索画面で月ごとの新着リストがご覧いただけます♪↑

 

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※郵送貸出サービスの利用対象者は学生・研究生・科目等履修生・教職員の皆さまのみです。詳細は下記の図書資料の郵送貸出サービスについてをご覧ください。


図書資料の郵送貸出サービスについて

 

2020年9月28日

NEWS 図書館からのお知らせ相模原


1F特集コーナー「写真家特集」

1階の入館ゲートを入ってすぐ右側に新しく特集コーナーを新設しました。

記念すべき第一弾の展示は「写真家」特集!!

 

今秋、写真家・浅田政志氏の写真集『浅田家』と『アルバムのチカラ』の2冊が原案となった映画「浅田家!」が公開されます。

それに合わせて図書館に所蔵している様々な写真家たちの写真集や本を集めてみました!

 

皆さんは好きな写真家はいますか?

どんな写真がお好きでしょうか?

 

残念ながらまだ外出が気軽に出来ない状況が続いていますが、写真を見て少しの間だけでも何処か遠い場所に思いを馳せてみたりしてはいかがでしょうか。

 

図書館では引き続き郵送貸出サービスを行っています。特集コーナーで展示している本も郵送貸出が可能ですので、ぜひぜひご利用くださいね!

 

郵送貸出サービスについてはこちらをご確認ください♪↓↓

図書資料の郵送貸出サービスについて(2020/8/25更新)

 

2020年9月24日

NEW BOOKS 新着情報杉 並


9/24 新着図書

【図書館員の注目本】

 

『北欧フィンランド配色ブック』

ヘルシンキ在住のテキスタイルデザイナー・島塚絵里による北欧の配色を巡るカラーブック。素敵なテーマ画像と、配色に合わせたオリジナルのテキスタイルパターンが可愛い。装丁は名久井直子。

 

『美しく着ることは、美しく暮すこと (花森安治選集:1)』

『暮らしの手帖』の初代編集長・花森安治が発表してきた文章を収録した選集。第1集は「衣」が中心。戦後を暮す女性たちに向けた言葉から、花森のおしゃれの美学がうかがえます。

 

『おたすけこびととおべんとう』

「おたすけこびと」シリーズの第7弾。お父さんの依頼を受け、こびとたちがお弁当を子どもに届けます。お弁当を積み、働く車とフェリーに乗って、目指すはたんぽぽじま!想像が膨らむ楽しい絵本です。

 

 

『世界の美しくてミステリアスな場所』

吸血鬼のモデルになった夫人が暮らした城に、幽霊が現れるリアル・ゴーストタウン。美しい写真も解説を読むと背筋が凍る!中にはぱっと見アウトなミイラや骸骨が並ぶ場所も。

 

『絵本はもっと面白くなる! : 決め手となる読み方、選び方』

絵本業界35年の著者が、仕事を通して気づいた絵本の面白さ、読み聞かせのポイント、お気に入りの絵本を紹介。絵本と付き合う秘訣が詰まった1冊です。

 

↑ 書名をクリックすると資料情報がご覧いただけます♪ ↑

 

その他全30冊、ぜひご利用ください。

 

https://lib.joshibi.ac.jp/opac/category/1/1

 

↑ カテゴリー検索画面で月ごとの新着リストがご覧いただけます♪↑

 

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※郵送貸出サービスの利用対象者は学生・研究生・科目等履修生・教職員の皆さまのみです。詳細は下記の「図書資料の郵送貸出サービスについて」をご覧ください。

 

図書資料の郵送貸出サービスについて

 

 

2020年9月24日

NEW BOOKS 新着情報杉 並


9/17 新着図書

【女子美OGの本】

 

『おいしく折ろう食育おりがみ 第2集』

女子美OGで折り紙作家の西田良子さんが手がけた、食にまつわる折り紙本の第2集。季節の食材の他、おせち料理などの伝統食も加わり、折りながら楽しく食について学べます。

 

【図書館員の注目本】

 

『絵本のようにめくる世界遺産の物語』

ページをめくる度に現れるのは、素敵な世界遺産の写真とそれにまつわる歴史や豆知識。ただ美しいだけでなく、世界遺産の何故?に答える興味深い1冊。

 

『ニッポン脱力神さま図鑑』

キノコ型のような田の神は「ラスボスたのかん」、愛嬌ある表情の国東仁王は「気さくすぎる仁王」など、著者のユーモラスなネーミングで路傍の神仏を紹介。思わずクスっと笑ってしまう1冊。

 

 

『PANTANAL』

猫写真家として有名な岩合光昭が、南米の熱帯湿地・パンタナールに暮らす生き物を撮った写真集。魚を飲み込む瞬間のカイマンや木の上で眠るジャガーなど、一瞬の仕草や表情を捉えた写真はどれも生き生きしています。

 

『こどもたちはまっている』

「こどもたちはまっている ふねがとおるのをまっている」―荒井良二の鮮やかな絵と詩のようなフレーズが繰り返される絵本は、どこかで見た景色、いつか感じた気持ちを思い起こさせます。

 

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その他全32冊、ぜひご利用ください。

 

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図書資料の郵送貸出サービスについて

 

 

2020年9月17日

NEW BOOKS 新着情報杉 並


9/12 新着図書

【書評に取り上げられた本】〈毎日新聞(2020/5/19)〉

 

『フジモトマサルの仕事』

2015年に亡くなったイラストレーター・漫画家、フジモトマサルの仕事をまとめた1冊。村上春樹、穂村弘、森見登美彦らのコメントあり。可愛さと寂しさが同居する動物たちが魅力的。

 

【図書館員の注目本】

 

『エドワード・ゴーリーの世界』

20世紀アメリカ絵本界の異端児、E・ゴーリーのガイドブック。独特の線画とテキストをたっぷり味わえる。世界的コレクターによる秘蔵コレクションも掲載。

 

『書物の幻影 北見隆装幀画集』

恩田陸や中島らもなど多くの小説の装幀画を手掛けた北見隆。40年間の仕事から約400点を掲載した、これぞ決定版画集。ミステリアスな世界観を堪能出来る。

 

『パンどろぼう』

「おれはパンどろぼう。おいしいパンをさがしもとめる おおどろぼうさ」と言いながら、パンを担いで逃げるパンどろぼう。見た目はパン、さてその正体は?シュールでユニークな絵本。

 

『まっくろいたちのレストラン』

小説家・島本理生×イラストレーター・平岡瞳の豪華コラボ絵本。愛する人のために自分が出来ることとは?木版画の風合いが優しい、いたちとうさぎの物語。

 

↑ 書名をクリックすると資料情報がご覧いただけます♪ ↑

 

https://lib.joshibi.ac.jp/opac/complexsearch

 

↑ 詳細検索画面で「新着○日以内」と入力すれば一覧がご覧いただけます♪↑

 

他全32冊、ぜひご利用ください。

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※郵送貸出サービスの利用対象者は学生・研究生・科目等履修生・教職員の皆さまのみです。詳細は下記の「図書資料の郵送貸出サービスについて」をご覧ください。

 

図書資料の郵送貸出サービスについて

 

2020年9月12日

TEACHERS' SELECTION 先生の本棚から


摘読録――My favorite words 第30回

女子美術大学 名誉教授 北澤憲昭

 

ここでカモメを見たと思ったとき、私の頭はおかしくなかった。だからカモメを見たのではないことが分かった。/時々、物が燃える。私が自分で火をつけたときというだけの意味でなく、自然に火がつくことがある。だから、切れ切れの残骸が時に遠くまで飛んだり、 驚くほど高く舞い上がったりする。/いつしかそれにも慣れた。/でも、できることならぜひ、カモメを見たというのを信じたい。/ 実を言うと、私がこの海岸に来た大きな理由はたぶん、夕日が見たいと思ったからだ。/あるいは潮騒を聞くため。

 

――デイヴィッド・マークソン/木原善彦訳『ウィトゲンシュタインの愛人』(2020)

 

人間も含めて動物がすべて姿を消した地上に、ただ一人で生きている猫好きの女性の独白が延々とつづく。日々の出来事、あれこれの思い出、芸術にまつわるトリビアルな知識、思考、想像などを、彼女は淡々と意識の赴くままにタイプライターで書きとめてゆく。マークソンの小説は、このようにして紡ぎ出されてゆく。

 

彼女は画家で、名前はケイト、年齢は五十前後。かつてソーホーにアトリエを構え、ウィレム・デ・クーニングやロバート・ラウシェンバーグ、それから小説家のウィリアム・ギャディスらと交流があった。結婚して男の子をもうけたが、子どもは幼くして他界し、夫も飲酒が原因で死んでしまう。夫の死は、どうやら彼女の浮気が原因であったらしい。

 

ケイトは放置された自動車を駆って国境の消えた地上を経巡り、また、ときには船も操って、無人の美術館や古跡を訪ね歩く。途中、ルーブル美術館で《モナ・リザ》の額縁を燃やして暖を取ったり、メトロポリタン美術館の壁に自分の絵画作品を展示したりと好き勝手なことをしながら、ともあれ、いまはアメリカの海辺の家で暮らしている。カーオーディオの媒体がテープであることから1980年代以降、CDがテープに取って代わる90年代までのあいだに何かが起こったらしいと察せられる。

 

 

ここに書き記される事柄は、しばしば曖昧で、間違いもあり、のちになって繰り返し修正され訂正される。あるいは、訂正するつもりで却って誤ることもある。いずれにせよ、読者は、正確さを求めて繰り返される話題に幾度となくつきあわされ、そのたびに事柄を捉え直すことを強いられる。はじめに書き記した彼女のプロフィールも、そうした不安定なことばから得た不確定な情報にすぎない。ケイトという名前も末尾近くではヘレンに変わっている。本書のなかで幾度も言及されるトロイア戦争の発端に位置する稀代の〝浮気者〟ヘレネに由来する名前だ。

 

地上にただ一人で生きる者にとって名前など実質的にどうでもいいのだが、この変更が興味深いのは、彼女がホメロスの『オデュッセイア』を思い起こしつつ、ヘレネの従姉妹にあたるペネロペとオデュッセウス、そして彼らの息子のテレマコスの三人にみずからの家族をなぞらえようとしている節があるからだ。ここには、かつてジェイムズ・ジョイスが、オデュッセウスの英語名である「ユリシーズ」の名のもとに行った企ての木霊が感じられるのである。この小説は、現代文学の歴史と神話化された古代ギリシャの歴史のモアレとして成り立っているともいえるのだ。

 

そればかりではない。「私」という一人称が、タイプライターを打っている女性であると同時に、そこに言語として生成されてゆく女性であり、また、この二重化された女性を小説として成就するデイヴィッド・マークソンでもあるという事態に、読者は本書の終結部で否応なく気づかされる。しかも、小説を読みながら、訂正と修正とによって行きつ戻りつする読者としてのこの私も、幾筋かの記憶の繊維として「私」に混紡されているかのように思われもする。

 

 

ここに引いた一節も曖昧だ。このすぐ前のところで、彼女は、カモメに誘われてこの海岸に来たと書いているのだが、しかし、このくだりでは、ここに住みついたのは夕日と潮騒にさそわれたからだという。しかも、自分の眼にしたものがカモメでないことは分かっていると彼女はいう。何かの燃えかすが風に舞ったのだろうというわけだ。別のところでは、海岸で書物の頁を燃やし、それが風に舞う姿をカモメに見立てるシミュレーションを行ったと書いてもいる。

 

ちなみにいえば、この女性は書物を焼き、部屋に火を放ち、家屋を燃やし、また、惜しげもなく荷物を捨て去るのだが、その行動はポトラッチへの連想を誘い、ポトラッチをめぐってジャック・デリダがシカゴ大学で行った講義のタイトル「経済的理性の狂気 The Madness of Economic Reason」いうことばを思い起こさせる。この連想に従うならば、彼女は理性に宿る狂気を体現しているということができるかもしれない。

 

万事この調子で、修正と訂正の繰り返しによって事柄が宙づりにされたまま文章が進行してゆく。輪郭を捉え直す幾筋もの線が、亡霊のように残されたデッサンを見ているようだといってもよい。線の亡霊は事実探究の痕跡にほかならない。彼女が、事実と符合することばを求めていることは、ときおりことばの不正確さを嘆く独白が挟まれることに示されている。いくたびも鏡への言及が繰り返されるのも、このことと無縁ではないだろう。

 

 

彼女がカモメに関心を抱く動機のひとつに、ルードヴィヒ・ウィトゲンシュタインへの関心がある。ウィトゲンシュタイは海鳥が好きで、アイルランドの海辺に暮らしていたときには、たくさんの鳥たちを餌づけして土地の人たちの語り草になったという逸話が伝えられている。彼女は哲学が得意ではないというけれど、ウィトゲンシュタインを読んだことがあり、ぜんぜん難解だとは思わなかったという。げんに、彼女はしばしば『論理哲学論考』冒頭のテーゼを口にする。「世界はそこで起こることのすべてだ」(The world is everything that is the case.)、と。

 

このウィトゲンシュタインのテーゼを踏まえて捉え返すならば、本書は、ひとりの画家がことばで「世界」を描き出そうとする企てとみることができる。事実の出来る限り正確な像を描き出すことで、その世界の構造を正確に捉え返そうとする試行である。ただし、描き出される事実には、思考や記憶、あるいは可能態としての幻影さえも含まれるし、事実と対応しない誤った記述もまた、記述というひとつの事実にほかならない。このようなに複雑に折りたたまれた事実を、「そこで起こること」として、彼女は次々と書き留めてゆく。

 

無人の都市や古跡をさまよっていた頃の彼女は「心から離れた[アウト・オブ・マインド]状態」だった。正気を失うか、もしくは記憶から消えた時間――Time out of mind.――を生きていたというわけだが、このように自らの外部に想定されていた世界は、彼女が「世界」の描写を進めてゆくあいだに、彼女自身を呑み込んでゆく。彼女は、みずからが描き出す「世界」に閉じ込められてゆく。「心から離れた[アウト・オブ・マインド]状態」にあった彼女は、心のなかに捕らわれた状態に、だんだんと陥ってゆく。彼女は独我論[ソリプシズム]症候群を呈しはじめる。ただし、その独我論的空間には、記憶と知覚にまつわるさまざまな声と像とがポリフォニックに交錯している。

 

☆ 

 

ウィトゲンシュタインに会っていれば「きっと彼のことが好きになっていただろう」と、彼女はいう。ウィトゲンシュタイが同性愛者であり、すくなくとも女性の愛人はいなかったことを彼女は知りつつ、そのようにいう。そして、「愛人」という言葉が時代遅れだとも彼女は書きしるす。「愛人」と訳されているmistressは「恋人」「女主人」とも訳されるが、はたしてWittgenstein’s Mistressというタイトルが、いかなる含意を有するのか。修正や訂正を繰り返し、たえず輪郭を変えてゆく本書の成り立ちからして、これを言い止めるのはむつかしい。

 

それでは、本書のモティヴェイションは、いったいどのようなものであるのだろうか。生きられた『論理哲学論考』というようにこの小説を捉える見方もあり、なるほどそのようにもいえるのだが、本書には、『哲学探究』によって代表されるウィトゲンシュタイン後期の思想の影も揺曳している。生の有りようと同じく予測不可能なゲームとして言語活動を捉え返し、ことばは、そのゲームにおいて――ときには真剣に、あるいは嬉々として行われる言語ゲームにおいて――意味を帯びるとする発想だ。

 

マークソンのモティヴェイションは、ケイトのモティヴェイションに対するメタの立場にありながら、その大部分をケイトと分有しているとみることができる。つまり、モティヴェイションにかんしてマークソンとケイトが互いに互いのゴーストであるような状態が想定されるのだが、もしそうだとすれば、本書のモティヴェイションは書くということにまつわる情動といえるのではないだろうか。すなわち、書くことと生きることを同期させる情動である。ケイトにとって書き記すことが――「この海岸に誰かが住んでいる」という末尾のことばが暗示するように――自身の存在の証であるのだとすれば、彼女の叙述に自己の小説を重ね合わせるマークソンにとっても、書くことは自己の存在の手ごたえを得る手段だったのではないかということだ。

 

だが、本書のモティヴェイションを示すには、本書にしるされた音楽をめぐる次のエピソードを引用すれば、それで事足りるのかもしれない。

 

かつて誰かがロベルト・シューマンに、今あなたが弾いていた曲の意味を説明してくださいと言ったことがある。/するとロベルト・シューマンはもう一度ピアノの前に座り、 同じ曲を弾いた。

 

 

このいささか長くなりすぎた小文の締めくくりとして、ついさっき引いたこの小説の末尾の一行を、デイヴィッド・マークソンがケイトと共にしるした遣る瀬なく切ないメッセージを原文から引いておくことにしよう。

 

Somebody is living on this beach.

 

*[ ]内は直前の語の振り仮名。スラッシュは原文改行。

 

 

 

 2020年9月23日改稿

2020年9月10日

NEWS 図書館からのお知らせ共 通


ProQuestのプラットフォームが新しくなりました (再掲)

ProQuestのプラットフォームから検索を始めましょう!


【本学学生・教職員対象】
ProQuest社の新しいプラットフォームから
学術コンテンツ のフルテキストを 学外からご利用できます。

ぜひ検索をお試しください。

詳しくは、アクティブ・アカデミーから【連絡事項】をご確認ください。

オープンアクセスで利用できる豊富な学術コンテンツのフルテキストをダイレクトに利用できます。
【同時アクセス  無制限】
ディスタンスラーニングにおける、アクセス改善を支援します。 

※利用期間:2020年9月30日まで  

2020年9月2日

NEWS 図書館からのお知らせ共 通


【終了】【9/1~7】図書館サービス停止のお知らせ(2020/9/2 更新)

学生・研究生・科目等履修生・教職員の皆さまへ

 

図書館サービス停止期間: 9月1日(火)~7日(月)

対象キャンパス:杉並図書館・相模原図書館

 

図書館システムリプレイスのため、両キャンパスともに、以下の図書館サービスが停止いたします。予めご了承ください。

 

・図書館資料の貸出・返却(郵送貸出サービス)

・OPAC検索  
(但し 9月4日のみ使用可)

・マイライブラリへのログイン 

 

郵送貸出サービスをご希望の方は、お早めにお申し込みください。

 

※停止期間のお申し込み分は、9月8日(火)以降、確認しだい発送となります。(2020/9/2更新)

 

※返却図書を郵送いただく事は可能です。

返却処理は9月8日(火)以降となります。予めご了承ください。

なお、図書館への到着状況は、追跡ナンバーでご確認いただけます。

 

 

ご協力の程よろしくお願いいたします。

2020年9月1日

NEWS 図書館からのお知らせ共 通


「遠隔授業および自宅学習支援のおしらせ」DB聞蔵の学外利用期間延長について

COVID-19対応のため、図書館は朝日新聞社の協力により、聞蔵Ⅱ(朝日新聞のDB)の利用環境強化(在宅での利用や一時的なアクセス増)を実施しております。このたび、9月末まで学外利用期間を延長いたしました。

是非、ご利用ください。
※学外からもIDとPW(パスワード)で聞蔵Ⅱビジュアル(朝日新聞社)コンテンツにアクセスできます。

【聞蔵Ⅱ】URL:http://database.asahi.com/

申込方法
※希望者へ別メールで、臨時IDとPWをお送りします。 
女子美から付与されたアカウントのメールでお申込みください。       
              ↓ ↓ ↓
・相模原校地の利用希望者は、info-c@venus.joshibi.jp へ

件名「聞蔵 臨時利用希望」で本文へ所属・氏名を明記してメールしてください。

・杉 並校地の利用希望者は、info-j@venus.joshibi.jp へ

件名「聞蔵 臨時利用希望」で本文へ所属・氏名を明記しメールしてください。

・同時アクセス数:50  ※ご利用後は必ずログアウトしてください。
・ご利用期間:9月末まで延長 (1アクセスは10月末まで利用可能)
・ご利用内容:聞蔵Ⅱのすべてのオプションコンテンツが利用できます。

       
詳しくはアクティブ・アカデミーをご確認ください。

https://aa.joshibi.net/aa_web/  

・同時アクセス数:50  ※ご利用後は必ずログアウトしてください。
・ご利用期間:9月末まで再延長 
・ご利用内容:聞蔵Ⅱすべてのオプションコンテンツが利用できます。

<ご利用上の注意>
・ID、PWは外部に漏れないよう、お取り扱いには十分ご注意ください。
・ID、PWは不特定多数の人が閲覧可能なホームページ等には絶対載せないでください。

・守られない場合、この特別利用は中止となります。
・その他、下記の学外利用・利用規約の順守をお願いします。
http://www.asahi.com/information/db/pdf_db/2forl/rinji_kikuzo_kiyaku.pdf

【聞蔵Ⅱビジュアル・プレミアムバリューパックの内容】
朝日新聞の明治創刊号から今日まで日本の近現代を通して検索できます。
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聞蔵とは 参照URL:http://database.asahi.com/help/jpn/about.html

2020年8月25日
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