こぼれ話

EPISODE こぼれ話相模原


シソーラスの話

大学院 芸術文化専攻 青島

 

図書館の検索用PCの脇に一冊の辞典が置かれるようになった。大修館書店の『大シソーラス』つまりは類語辞典である。

 

このシソーラス、普通の辞書のように適当なページを開いて楽しもうとすると、めまいに見舞われるかもしれないので注意されたい。各単語の意味が文章で説明されているわけではなく、意味上で近しい単語が怒涛のごとく列挙されている辞典なのである。

 

たとえば【付ける】という大見出しの下に、「付着する」「接合する」「貼る」「宛行う」「べったり」「結ぶ」「縛る」といった、【付ける】と意味の上で繋がりをもつ言葉が小見出しとして並んでいる。更に各小見出しの下に「附着」「くっつき」「密着」「密接」「緊密」「毛抜き合わせ」「抱き合わせ」「抱合」「固着」「粘着」「膠着」……と、関係する言葉が無限にも思えるほど入っている。「ぎゅっと」や「ぴったり」といったオノマトペまで掲載されている。単語が見開きの中に渦巻いており、文章を読むつもりの頭で眺めようとすると神経回路が混乱すること請け合いである。

 

しかしもちろん、利用者の頭を混乱させるためにこの辞書が配置されたわけではない。シソーラスは、利用者が本や情報の検索をするときに役立つ。

 

目指す一冊が決まっているときにはシソーラスの出番はない。自分の求める情報を、手を変え品を変え探すときに真価が発揮される。

 

仮に、水に関する作品を作るため、資料を探しに来たとしよう。まずは「水」をキーワードに検索することができよう。ただ、それだけでは一部の本しか探せないか、逆にキーワードに引っかかってくる本が多すぎて困ることになるかもしれない。そうするとキーワードを足すか変えるかして、自分に必要な情報を的確に引き出すことが必要になる。そのキーワードを検討するときにシソーラスが助けてくれるのである。

 

「水」の項をみると、「水流」「雨」「露」「川」「潮」「泡」等、「水」にまつわる言葉が出てくる。「ウォーター」といった、対応する訳語もある。その中から自分の求めているものに近い言葉を選び、検索のワードに使えば、「水」というワードだけでは引っかからなかった関係深い本や情報が見つかるかもしれない、というわけである。

 

また、シソーラスは自分の中のイメージを具体化するときにも役立てることができる。「青」をテーマにしようというとき、その「青」はいかなる青か。「碧」「蒼」「青藤」「空色」「コバルト・ブルー」「紺」「瑠璃色」「露草色」「花色」「藍」「縹(はなだ)」「浅葱」「納戸」……軽く書き出しただけでもこれだけの違う青があった。どんな青なのか、シソーラスをみているときは分からなくても問題ない。そのままPCや本でどんな色味なのかを調べればいいのである。興味があれば、色名の由来なども今はインターネットで概要を知ることができる。

 

漠然と眺めるには情報量が多すぎて向かないが、調べたいもの、使いたいものが大体決まっており、それに対して多角的な見方を求めているときにはシソーラスほど心強い相棒はいないのではないだろうか。
ぜひ一度使ってみていただきたい。

 

2016年11月15日