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NEWS 図書館からのお知らせ杉 並


特集コーナー「ムーミンとフィンランド」

 

4月の杉並図書館・特集コーナーのテーマは、「ムーミンとフィンランド」。

先月オープンした話題のテーマパークや今月から始まる

都内の美術館の企画展示でも取り上げられている人気の北欧のキャラクター

ムーミンとムーミンをうみだしたフィンランドに関する資料を紹介します。

ムーミンやフィンランド好きな方もそうでない方もこの機会に受付カウンター右横の特集コーナーをご覧下さい。

 

展示はムーミンと作者のトーベ・ヤンソンに関する資料14点、フィンランドに関する資料が7点の全21点です。

その中からいくつか紹介します。

 

『ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン』

 

 

2014年の生誕100年にあたる企画展の一環事業として出版され、

主にトーベの画業に焦点をあて、創作の変遷を生涯にわたり網羅しています。

ムーミン作品誕生の背景をとことん理解したい方におススメです。

 

 

『ムーミンのふたつの顔』       

                                                            

日本では読み物やアニメから「ムーミン」を知った人が大半だと思います。

しかし欧米、特にイギリスにおいては日本の事情とは異なり、

新聞に連載された漫画からムーミン人気は広まったそうです。

こうした経緯など今までのイメージとは違うムーミンの別の顔を知りたい人は

読んでみてください。

 

『フィンランド語は猫の言葉』

 

 

フィンランド留学記です。

タイトルの由来は本書の文中の「ニーン、ニーンとはフィンランド語で

相槌を打つときに使う言葉だが話をしているときに相手がただ

『ニーン、ニーン、ニーン、ニーン』と言うと私はなんだか猫と

話しているような気がしてくる(239ページ)」からきているようです。

語学留学記のため語学の話題が多めですが、

フィンランドに興味をもつ方なら楽しめる内容だと思います。

 

以上、他、全21冊全て貸出可能です。

 

 

 

 

2019年4月6日

TEACHERS' SELECTION 先生の本棚から


摘読録――My favorite words 第20回

女子美術大学 名誉教授 北澤憲昭

  

春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎは少し明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

――清少納言『枕草子』より

  

いまの京都に、千年前と同じ空などありはしない。清少納言が目にした「あけぼの」の空を眺めることは、もう誰にもできない。他の都市と同じく京都の空気は、酸化硫黄,二酸化窒素,一酸化炭素,粒子状物質、光化学オキシダントなどによって汚染されている。しかも、内陸盆地にある京都では大気が滞留しやすい。そればかりか、大気汚染は、冬にピークに達する。その冬があけての春である。いまの京は、むかしの京にあらず。いにしえの京のあけぼのは、ことばのなかに息づいているばかりだ。

  

『岩波古語辞典』によると、あけぼのは、あかつきの次にやってくる。「あかつき」は夜の終わりで、朝のまだ暗い段階を指す。一夜を共にした女性のもとから男が帰ってゆく刻限だ。そこここに闇がひそむ空間が、やがて、空の方から、だんだんとほのかに白んでくると「あけぼの」と呼ばれる時分となる。

  

こうして夜の終わりから朝の始まりへと時がスウィッチされる。あるいは、リセットされる。つまり、無垢な時間のおとずれである。イェーツが「夜明けのように無知でありたい」と歌ったとき、彼は、こうした「あけぼの」のすがすがしい無垢の光を――もしかしたらミネルヴァの梟との対比において――感じていたのにちがいない。

 

ところで、引用した文の読点は一例にすぎない。「やうやう白くなりゆく山ぎは」で読点を施し、「少し明りて紫だちたる」で区切ることもできる。だが、「やうやう白くなりゆく」で区切った方が「あけぼの」のイメージが彷彿するように思われる。だんだんと白い光が空から地上へと降りてきて、あたりに瀰漫してゆく感覚があるからだ。

  

この文章は「たなびきたる」と連体形で終わっている。ほんらいなら「たなびきたり」とするべきところだが、それではたんなる情景描写になってしまう。一事例になってしまう。連体形で文を結ぶのは強調のレトリックであり、また、この場合は、そうすることによって事例が典型へと切り替えられている。

  

末尾の連体形は、「春はあけぼの」という冒頭の体言止めと対応していると考えることもできる。もし、そうだとすれば、「紫だちたる雲の細くたなびきたる」という連体形を「あけぼの」に接合して読むのも一興だ。これによって京の「あけぼの」が大気汚染を逃れて、ことばの円環のなかで、きよらかな光を放ち始めるからである。

  

大庭みな子は、このくだりに「春はなんといっても明け方。だんだん白んでくる山際が少し明るくなって、紫がかった雲がほそくたなびいているさま」という現代語を対応させた。同じくだりに、メレディス・マッキニーは次のような英語を与えている。In spring, the dawn - when the slowly paling mountain rim is tinged with red, and wisps of faintly crimson-purple cloud float in the sky.

  

  

 

2019年4月2日

NEW BOOKS 新着情報相模原


3/19 新着図書 【図書館員の注目本】

 

【図書館員の注目本】

 

 

『なぜフィクションか?』
フランスを代表する文学理論家・美術研究者であるシェフェールが1999年に発表した本書は、その後のフィクション理論に多大な影響を与えました。
ごっこ遊びからバーチャルリアリティまで、フィクションを人類に普遍的に備わる「心的能力」としてとらえなおします。

 

 

『懐かしくて新しいレトロスタイルデザイン』
古き良き時代のグラフィックデザインや印刷・加工技術に影響を受け、現代のエッセンスを巧みに加えた、斬新な作品の数々をご紹介。
デザイン制作の場において、レトロな作風の表現の幅と可能性のヒントにぜひご覧ください。

 

 

『図説 絵画の変革』
絵画の伝統を壊した印象主義。絵画における「近代」とは何か?近代絵画のホントの魅力と面白さが明確にわかる1冊です。

 

 

『光彩のアルストピア』
イタリア美術の流れを作品論を通して新たに読み直す「アルストピア」シリーズの第2巻。テーマは「盛期ルネサンス」です。
第1巻「黎明のアルストピア」もご一緒にどうぞ。

他全19冊

 

2019年3月19日

NEW BOOKS 新着情報杉 並


3/14 新着図書

【女子美OGの本】『木の実とふねのものがたり』

女子美短期大学を卒業された小林由季さん。壁画制作やイラスト、デザインなど絵を描いています。2016年に『木の実とふねのものがたり展』をきっかけに絵本製作を始め、本作で絵本作家デビュー。

 

【図書館員の注目本】『怖いへんないきものの絵』

名画の中に登場するへんないきものはいかにして誕生したのか。中野京子さんと早川はやをさんが不気味で可笑しい名画の謎に迫る。ベストセラー本『怖い絵』と『へんないきもの』がまさかの合体。

 

【図書館員の注目本】『てのひらのえんぎもの : 日本の郷土玩具』

商売繁盛、安産祈願など祈りがこめられた、日本各地の郷土玩具・縁起ものを紹介するイラストエッセイ。郷土玩具の作り方や作り手の方へのインタビューもあり、読み応えもあります。

 

【図書館員の注目本】『世界の美しい橋 : bridges in the world』

世界遺産の水道橋、絶景の鉄道橋、ユニークで独創的な橋など。人々の生活と文化を結ぶ、世界各国の美しい名橋の写真集。橋に関連した豆知識も載っています。

 

【図書館員の注目本】『いちばんどりいちぬけた』

朝を知らせるいちばんどりが、ある日、鳴くのをやめちゃった!?いちばんどりの旅を「いち」づくしで楽しむ絵本。よく見るとちがう鳥がまじってる?2012年にピンポイント絵本コンペで最優秀賞を受賞した作品を新たに描き起こした作品。

 

 

 

その他全25冊

展示中の新刊図書は、2号館1階ロビーのガラスケース内 / カウンター前ともに貸出可能です。
気になる本がありましたら、カウンターまでお越しください。

詳細検索で「新着〇日以内」と入力すれば一覧がご覧いただけます。

http://lib.joshibi.ac.jp/mylimedio/search/search-input.do?mode=comp&nqid=1

2019年3月14日

NEWS 図書館からのお知らせ杉 並


「女子美術大学所蔵 洋書展示 第1弾・春のファッションコレクション」

『女子美術大学所蔵 洋書展示 第1弾・春のファッションコレクション』

展示期間:2019年3月13日~5月10日

展示場所:杉並図書館 学生展示ギャラリーコーナー

 

 

3月も半ばに入り、だんだんと暖かくなってきました。

厚ぼったいダウンコートを脱いだら、春らしい装いでお出かけしたくなりませんか!?

 

そこで、今回杉並図書館では、女子美が所蔵する洋書コレクションの中から、ファッションブランドの本を紹介します!

 

 

春をイメージに集めたハイブランドの洋書たちは、質感、希少性もさることながら、ランウェイから抜け出してきたかのように見えるドレスや、スタイリッシュな装丁も注目です。

 

 

春色にそまったファッションの数々、スプリングコレクションin杉並の開幕です!

是非この機会に図書館にお越しくださいませ♪

2019年3月13日

NEW BOOKS 新着情報相模原


3/8 新着図書

 

【図書館員の注目本】

 

『廃坑の街』
「人の暮らしの温かさ」をテーマに、どこかにありそうでない創作世界「廃坑の街」を中心とする風景イラストを制作している、「ぽち」さんの作品集と作画テクニックをご紹介します。

 

 

『どこにも属さないわたし』
三重県で生まれ、現在はドイツに在住されているイケムラレイコ氏の自伝的回想録。
「どこにも属さないということは自己をみつめることであるかもしれない」。
「個と個のつながりの中で支えられたこと」に、感謝されています。

 

 

『かわいいミラー刺繍』
インド西部に伝わる、伝統のミラー刺繍の技法をわかりやすくアレンジ。
輝く鏡片と色とりどりのスケッチを施した独特の文様が魅力です。

 

 

『和製マジョリカタイル』
ヨーロッパのタイルへの憧れから始まった和製マジョリカタイル。
その魅力の本質をもう一度考えたら、これからの私たちの大切な何かを教えてくれるかもしれません。

 

 

『ゼンタングル』
ペンと鉛筆、紙とこの本さえあれば大丈夫!
今すぐあなたもアーティスト気分に!!

 

 

他全30冊

 

2019年3月9日

EXHIBITION 展示相模原


【終了】「ブルーノ・ムナーリの絵本の世界」~杉並図書館巡回展~

『ブルーノ・ムナーリの絵本の世界』~杉並図書館巡回展~

展示期間:2019年3月8日~5月10日

展示場所:相模原図書館1F

現在、相模原図書館では2016年8月に

杉並図書館にて行われていた

「ブルーノ・ムナーリの絵本の世界」を

展示しています。

ブルーノ・ムナーリ(1907-1998)は、

絵画、彫刻から、グラフィックやプロダクトデザイン、

ワークショップに美術教育など

アート・デザインの分野で幅広く活躍した

イタリア出身の美術家兼デザイナーです。

また、子どものために絵本も創作しており

言葉を必要とせずとも絵本を楽しめるよう

様々な試みを施した本を何冊も出版しました。

今回の展示ではその絵本の一部を

見ることができます。

昨年には世田谷美術館で回顧展も行われており

もうすでにご覧になった方や

見逃してしまった!という方も

この機会に図書館で

ムナーリのウィットに富んだ作品世界を

味わってみてはいかがでしょうか。

2019年3月9日

TEACHERS' SELECTION 先生の本棚から


摘読録――My favorite words 第19回

 

女子美術大学 名誉教授 北澤憲昭

  

芸術家はよくきわめて非実際家だと言われ、またたいていそう感じられている。彼らはいつも食事に遅刻する、手紙を出すことを忘れ、借りた本やまたは借りた金さえ返すことを忘れる。

――ジェーン・E・ハリソン/佐々木理訳『古代芸術と祭式』より

  

説明するまでもないだろう。芸術家自身はもちろん、家族や友人に芸術家をもつ者なら誰しも覚えがあるはずだ。オスカー・ワイルドは批評家も芸術家のうちに数えたが、自分のことを棚に上げるために、とりあえず、このことは括弧に入れておくことにしよう。

  

引用した文のなかにみえる「非実際家」とは、プラクティカルな社会生活になじまないという意味である。つまり、芸術家は実生活に疎いということだ。このくだりの少しあとで、ハリソンは「非実際的」ということを、「芸術は直接行動と縁の切れたものだ」といいかえている。

  

たとえば、ほどよく熟した桜桃が目の前にあるとする。これを食べて満足するならば、それによって、生命維持にかかわる正常な行為のサイクルが完結する。その行為は、実生活の一齣として収まりがつく。ただし、そのひとは芸術家ではない、とハリソンはいう。もし、そのひとが画家ならば、桜桃を食べることなく、そのヴィジョンを――純化されたエモーションを――描くはずだ。つまり、芸術家の行為は生命維持のサイクルを完結させない。ハリソンは、こんなふうに説明している。

  

とりたてるまでもない、ありきたりの芸術観だが、そこから冒頭のことばが引き出されたのはおもしろい。ハリソンも、芸術家の行動に困惑した経験が、きっとあったのにちがいないからだ。

  

ところで、ハリソンは、名著の誉れ高いこの本で、主に演劇を念頭におきながら、芸術の根源の彼方に、生命的なエモーショにまつわる古代の儀礼を想定している。そして、儀礼から芸術が派生するのは、儀礼の共同性から「見物人」が分離したときだと指摘する。つまり、儀礼に参加する者と、それを見る者が分離し、対置されるところに芸術が生まれるという。儀礼の執行が演技として眺められるようになってゆくというわけである。

  

だが、その一方でハリソンは、先に引いた桜桃の譬えのくだりで、生命的なエモーションにまつわる場面の外に立つことで、つまり、「見物人」になることで、ひとは画家になると述べている。そうであるとすれば、画家は、古代の儀礼の記憶を引き継ぐ演者ではなく、その演技を見る者だということになる。ハリソンは彫刻についても、パルテノン神殿のフリーズと《ベルヴェデーレのアポロン》を例に同様の指摘をしている、「超然と見物者[スペクテータ]のごとくまた幽霊[スペクター]さながらに」という謎めいたことばを締めくくりとして。

  

画家と彫刻家は、古代の儀礼に加わる人びとのなかからではなく、それを見る人びとのなかから登場したというこの指摘は、じつに興味ぶかい。芸術の起源にかんするいまひとつの見方を暗示しているからだ。「見ること」と「行うこと」が作り出すメビウスの環。これは、冒頭で棚にあげたワイルドの見解、すなわち批評家を芸術家とみなす見方に、ひとつの根拠を与えているということができるだろう。

  

  

2019年3月8日

NEW BOOKS 新着情報杉 並


3/7 新着図書

【女子美OGの本】 『フランス語日記』

女子美デザイン科卒業後、渡仏し料理学校へ留学。現在もパリとノルマンディーを行き来する生活を送られています。フランス語の勉強はもちろん、現地で撮られた写真を見るだけでも楽しい1冊。

 

【女子美OGの本】 『お正月がやってくる(ポプラ社の絵本:60)』

女子美絵画科卒業の秋山とも子さんの絵本。商店街の一家の目を通してお正月を迎えるよろこびを描いています。お正月の伝統文化を改めて知ることができる絵本。

 

【書評に取り上げられた本】〈朝日新聞(2019/1/21)〉 『ゴッホ:最後の3年』

「ひまわり」「星月夜」「夜のカフェテラス」など傑作の生まれた3年間。その果てに彼が見たものとは−?マンガで読むゴッホ最後の3年。

 

【図書館員の注目本】 『ねことじいちゃん:写真集』

岩合光昭さんが初監督した映画の撮影中に監督業と並行して撮影した「ねことじいちゃん」が暮らす島を巡るような写真集。映画の裏話やオーディションの話なども載っています。

 

【図書館員の注目本】 『MOZUトリックラクガキアート集』

Twitterで“26万いいね”の支持を集めた、MOZUのだまし絵作品集!今回は中学生のころから制作を続けているトリックラクガキ作品集。思わず二度見してしまう、だまし絵55点を収録。

 

【図書館員の注目本】 『妖怪たちのいるところ』

水木先生の未発表原稿と小松和彦さんの文章による”妖怪学入門”ともいえる本です。妖怪や幽霊や妖精たちを”場所”という切り口で分類整理した希少な本。水木先生の絵はオールカラーです。

 

 

 

 

その他全30冊

展示中の新刊図書は、2号館1階ロビーのガラスケース内 / カウンター前ともに貸出可能です。
気になる本がありましたら、カウンターまでお越しください。

詳細検索で「新着〇日以内」と入力すれば一覧がご覧いただけます。

http://lib.joshibi.ac.jp/mylimedio/search/search-input.do?mode=comp&nqid=1

2019年3月7日
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