6月の杉並図書館・特集コーナーのテーマは
「同人誌をつくろう!」です。

夏休みが始まってしまう!
ぬるっと始まってはスパンと終わることを知っているはずなのに、毎年同じようなことをして夏を消費してしまうあなた。
気づけば課題に追われ、やりたかったことの半分も達成できず、冷えた部屋でスマホを眺めてしまうあなた。
浮足立つ心の裏側で、妙な焦りを感じているあなた。
そろそろ、同人誌をつくってみる頃合いかもしれません。
同人誌とは、なにも漫画やアニメの二次創作だけを指す言葉ではなく、その在り方は実に自由で多彩です。オリジナル作品のみを扱った同人誌即売会も存在しますし、誰もが好きなことを好きなように綴じて本にしています。
あなたが心血を注いで完成させたもの。真剣に向き合いすぎて正直見飽きてしまったもの。まだ形にはなっていないけど、きっと素敵になるもの。もうどうやってもダメなように思えて、二度と直視できなくなってしまったもの。未完成のまま終わってしまったもの。本当は捨ててしまいたくてたまらないもの。
これをつくっているとき、私はどんな気持ちだった? どんな思いがあった? 湧き上がる感情の正体はなんだった?
ぜんぶ忘れないために、まとめて飾って、本にしてみませんか。
‼PICKUP‼
【一生手元に置いておきたい】おすすめ五選【おまけの一冊】

①『入稿データのつくりかた : CMYK4色印刷・特色2色印刷・名刺・ハガキ・同人誌・グッズ類』
中身さえあれば本はつくれるけれど、体裁を整えるにはやっぱり知識がいる。フルカラーで情報がぎっしり詰まったこちらの本は、同人誌づくりの技術書として必携かもしれません。ちょっと難しい部分もありますが、私たちにはパソコンやスマホといった強い味方がいますので、それらを片手にこの本を乗り越えていってください。

②『造本解剖図鑑 : 紙から読み解く本づくりの極意』
どうにか中身が整ったぞ! と思っても、今度は用紙選びが待っています。本文に使う紙は? 表紙に使う紙は? 重さは? 厚さは? 考えなきゃいけないことが多い紙選び。印刷所から紙のサンプルを取り寄せてしまうのが一番なんですが、できれば完成形を固めておきたいという方はこちらの本をどうぞ。実在する本を例に、どういう紙がどういった重さでどの部分に使われているのかを紹介しています。

③『特殊印刷・加工実物見本帳 箔押し・コールドフォイル・空押し・表面加工編』
なんだかんだ装丁のことは忘れがち。どうせなら表紙も好き放題デコってありえないほどギラついた一冊をつくってみたいという方は、こちらを眺めてみることをおすすめします。印刷・加工が施された実物サンプル付きの「見本帳」です。実際に手で触れて質感を確かめられるのは大変助かります。私はマットPP加工した表紙に艶消しシルバーで箔押しをするのが好きです。

④『自分でできる!印刷・加工テクニックブック : 低予算でも素敵なデザイン』
「外側に金をかけている暇はない! 大事なのは中身!」という方は、同人誌の原点“手製”に立ち返ってみましょう。本の綴じ方が写真付きで解説されており、持っていると便利な道具や手作りできる材料なども紹介されています。シンプルなぶん、途中「それもいるのかよ」と後出しで道具が出てくることもありますが、最初に解説を読んでおけば特に問題はありません。「自分の手で一からつくる楽しさ」にハマってしまうかも。

⑤『魅せる!同人誌のデザイン講座 : Before‐Afterでわかる試したくなるアイデア&テクニック』
結局、同人誌のことは同人誌について説明している本を読むのが手っ取り早い場合もあります。特にこの本の7章は、自分で本をつくるとなった際に読んでおきたい「印刷と入稿の基本」が書かれています。そして、同人誌づくりにおいて意外に難しいのが印刷所探し。この本では「同人誌に特化した印刷所」への言及があります。最後は自分で頑張って探すしかないのですが、どうにかネットの力を駆使してほしいと思います。

おまけ 『「感情」から書く脚本術 : 心を奪って釘づけにする物語の書き方』
小説を書いていて「そもそも中身ができていません」という方に向けて、自信を持っておすすめできる一冊です。なぜなら読了済みのため。この本自体は脚本術と題されている通り、厳密には小説の書き方を記したものではありませんが、「物語の書き方」という点では小説にも流用できる部分がたくさんあります。「なんか全然面白くならないし完成する兆しも見えない」と泣いてしまう前に、この本をめくってみてください。
他 全21冊、すべて貸出可能です。
同人誌づくりは究極の自己満足。あなたがオタクでなくともコミケに参加する予定がなくとも、いつでも始めることができて、いつか世界に一冊の本ができあがる。
あなただけの、あなたのための作品集。それはすべての「創作をする人間」を、いついかなるときも奮い立たせてくれる初めの一冊。
長い夏がやってきます。つくってみませんか、同人誌。

2025年6月9日