2・3月の杉並図書館・特集コーナーのテーマは、
「賢治童話×ART=∞」です。
2023年、童話作家・詩人である宮沢賢治は没後90年を迎えます。
その節目の年に、童話を題材としたARTの本を集めてみました。
賢治の文学作品は現代も読み継がれ、読者の心を魅了します。
さらに多くのクリエイターたちが、童話を原作とした絵本や映像などの
ARTを制作しています。
その表現方法は、絵画・写真・文字・漫画・アニメ・プラネタリウムなど多彩です。
また同じ原作でも、原作にない創作部分や描く場面が異なるなど、クリエイターの個性が光ります。
まさに表現の幅は∞(無限大)!
読書で賢治童話×ARTの世界を楽しみませんか。
いくつかご紹介します。
1.『銀河鉄道の夜 : 画集』
原作は宮沢賢治の代表作です。
その原作を、デジタルアーティストのKAGAYAさんがプラネタリウム番組として制作しました。
本書は番組の名場面と未公開シーンを収録した画集です。
描かれた絵は緻密で美しく、『銀河鉄道の夜』の幻想的な世界を再現しています。
なかでも印象に残るのは、車窓からの風景が描かれていること。
そのページは観音折りの製本となっていて、見開くと、眼下に広大な銀河風景が展開します。
自分も銀河鉄道の乗客になったような気分を味わえます。
2.『蛙のゴム靴 (ミキハウスの絵本)』
仲良しの3匹の蛙たちが、人間界で流行のゴム靴がきっかけでさまざまな感情を抱くストーリーです。
そんな蛙たちの感情を、絵本作家の松成真理子さんが水彩絵具を使い、表情豊かに描いています。
また「原作に登場しないゴム靴の広告」がカバーの折り返しにあるのも、本書の見どころのひとつ。
ゴム靴が大正時代に流行したとの歴史的背景から、当時の新聞広告をアレンジして表現しています。
3.『どんぐりと山猫 (大人になっても忘れたくない いもとようこ名作絵本)』
原作は、賢治の生前に刊行された唯一の童話集『注文の多い料理店』の
巻頭を飾る作品です。
動植物と子どもとの交流が描かれています。
絵本作家で挿絵画家のいもとようこさんによる絵は、表情にあたたかみを感じます。
繊細な色彩の絵は、貼り絵に着色という独自の技法で描かれています。
他 全26冊、貸出可能です(DVDのみ館内利用となります)。
受付カウンター脇の特集コーナーをぜひご覧ください。
2023年2月3日