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EXHIBITION 展示杉 並


【終了】The Old Books 素晴らしき古書の世界

展示期間:9/25(月)~12/22(金)
展示場所:杉並キャンパス2号館1階ロビー ガラスケース展示コーナー

 


芸術の秋、文化の秋がやってきました。


今シーズンの杉並図書館では、コロナ禍を経て実に4年ぶりに貴重書の企画展示、『The Old Books 素晴らしき古書の世界』を開催する運びとなりました。

 

「貴重書」とは、今では一般的に流通していない、希少で、学術・文化的な価値が高く、読んで字の如く「貴重な」本のことです。遥か昔の時代に制作された本は、どんなに保存状態が良い本であっても、年々劣化し朽ち果てていく運命にあります。


そのため、国宝や重要文化財として指定し、博物館や美術館などで厳重に保管していますが、近年そういった場所でしか見られない貴重な資料を後年まで残していくために、「ファクシミリ版」と呼ばれる、原本にできる限り忠実に複製した複製版が作成されるようになりました。

 

杉並図書館でも、このように古く学術的に重要な資料を美術の研究に役立てていただけるよう、収集・所蔵していますが、複製版とはいえ非常に貴重な資料になりますので、普段は貴重書庫で厳重に保管されおり、ほとんど目にすることのできない本になります。

 

今回の展示では、杉並図書館秘蔵の貴重書と禁帯出図書の中から、

 

ルネサンスの時代に活躍した巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチが遺した手稿や、13-14世紀頃に制作された装飾写本の中から、豪華な金箔押しが施され、鮮やかに採色された挿絵(ミニアチュール)が本文の中に組み込まれている『トリノ=ミラノ時祷書』『ランベス黙示録』のファクシミリ版、

 

アルフォンス・ミュシャを筆頭に、ベル・エポックのそうそうたる芸術家たちが表紙や挿絵を手掛けた芸術雑誌や、彩色された美しいファッション画にときめく18世紀のモード雑誌の原本、

 

本という媒体でありながら、装幀や製本に趣向をこらし、芸術品として追及された美しい本を世に送り出した武井武雄の刊本作品や、ウィリアム・モリスが装飾写本の製法や美しさに立ち返り、つくりあげた『Love is enough』、

 

日本が誇る芸術である浮世絵の中から、来年2024年から発行される紙幣の絵柄に採用された葛飾北斎の『富嶽三十六景』を、当時の道具・画材・製法で忠実に再現した複製版画や、同時期に活躍した歌川広重の『東海道五十三次』

 

日本に現存する最古の絵巻物『源氏物語絵巻』と、現代においても人気の高い平安時代の絵巻物『鳥獣戯画』、室町時代に制作され、水木しげるや宮崎駿の作品にも影響を与えたといわれる『百鬼夜行絵巻』の複製版、

 

70年ほど前の戦後間もない時代に刊行された、女子美OGであり学長も務めた堀文子先生と、同じく女子美OGである桜井悦さんが挿画を描いた美しい児童書、

 

他、和書・洋書織り交ぜ、豪華で盛りだくさんの内容で公開いたします。


遥かな時代を超えて脈々と受け継がれ、文化や芸術との関わりの中で進化・変遷してきたこれらの古く美しい本たちからは、本の制作に携わった職人や芸術家たちの、素晴らしい技術やものづくりへの情熱を感じとっていただけるのではないでしょうか。


この貴重な機会にぜひ、間近でじっくりとご覧ください。

 

 

2023年9月26日
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