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EXHIBITION 展示杉 並


【終了】ビジュアライズされるマザーグース ~挿絵・造本芸術の愉しみ~

展示期間:6/26(月)~9/22(金)
展示場所:杉並キャンパス2号館1階ロビー ガラスケース展示コーナー

 



今回、杉並図書館では企画展示
『ビジュアライズされるマザーグース ~挿絵・造本芸術の愉しみ~』を開催します。




〈マザーグースとは?〉



マザーグースとは、主にイギリスやアメリカの子どもたちに親しまれている、古くから口伝えで伝承された童謡の総称です。
童謡のことをイギリスではナーサリーライムともいいます。

童謡といってもメロディがないものもあり、子守唄、詩、なぞなぞ、早口言葉など多種多様。また内容も教訓、ナンセンス、滑稽、摩訶不思議、風刺などさまざまで、子どもから大人まで楽しめます。



〈マザーグースの本と挿絵〉


18世紀に入ると、マザーグースを採録した本が刊行され、楽譜や挿絵が添えられたものもありました。

唄の内容は、画家にとってイメージを喚起しやすいものもあれば、摩訶不思議で意味がよくわからないものもあります。

マザーグースを描くには、奔放な表現力を必要としたでしょう。

だからこそ、多くの画家たちが創作意欲を刺激され、独自の解釈でマザーグースをビジュアライズ(視覚化)しました。

なかにはウォルター・クレイン 、ケイト・グリーナウェイ、ランドルフ・コルデコットのような著名な挿絵画家もいました。

画家たちの解釈の違いは、マザーグースの挿絵を愉しむ醍醐味のひとつです。

たとえば人気キャラクターのハンプティ・ダンプティ。

もともとは「塀から一度落ちたらもとには戻せない」というなぞなぞ唄の主人公で、その答えは「卵」。

ハンプティの姿は、卵の擬人化、男の子、中年男性などさまざま。


さらに「塀から落ちた理由」を描くとなると、旗を振りすぎ、ワインを飲みすぎなど十人十色です。



〈造本芸術の魅力 ~複刻されたオーピー・コレクション~〉



さて、今回ご紹介する本は、ほるぷ出版の『複刻マザーグースの世界』シリーズ全52冊。

このシリーズは、オックスフォード大学ボードリアン図書館所蔵のオーピー・コレクションから、マザーグースの絵本を複刻したものです。

複刻の元となったオーピー・コレクションとは、児童文学研究家であるオーピー夫妻が収集した児童文学コレクションのこと。

これらは比類のない貴重な資料群で、夫妻の希望によりボードリアン図書館に寄付されました。

杉並図書館の特色ある蔵書構成として充実した絵本のコレクションがあり、このシリーズもその一部です。


本展ではこのシリーズの中から、

印刷・出版文化と深い関係があるチャップ・ブック、
折本形式のパノラマ絵本、
素朴で味わい深い挿絵、
細部までこだわった美麗な挿絵や装丁の本など、

さまざまな形でビジュアライズされたマザーグースを展示します。


数百年前の挿絵・造本の美しさはさることながら、複刻技術により時を越えてよみがえった本の美しさもご堪能ください。

複刻にあたり、当時の原本にできるだけ近づけるため、紙材、印刷、色彩、装丁などを調査し、忠実に再現したとされています。

これらの意匠を凝らした本は、それ自体がアートといえるでしょう。

眺めるだけでも楽しい本展。

いつもは書庫にて大事に保管している絵本をご覧いただける貴重な機会です。

ぜひお越しください。

 

2023年6月26日
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