美の原点 : 女子美術学校創立・再建の謎
No.022

学校史を知るには、まず『年史』を読むべきだが、私は歴史研究家ではない一人の女性が、本学の成り立ちを独自の視点で綴った1冊の本を紹介したい。
ここには開校まもなく世を去る創立者の一人横井玉子と玉子の遺志を引き継いだ佐藤志津、そして彼女たちの育った土壌が描かれている。18年前に刊行されたものだが、本学の歴史に関心のある方は一度目を通すべき本であろう。

歴史資料室
梁 丞延 

著者

青木純子


出版社

JAC企画


出版年

1999

怠惰への讃歌
No.021

過労死が問題になる一方で、この20年くらいのあいだに日本の労働人口の半数近くがコンピューターに取って替わられるという予測が不安を呼んでいる。しかし、これらは正と負の数字のように互いに打消し合う関係にあるとみることができる。コンピューターが職を奪うのではなく、過重労働を救ってくれると考えることも可能であるからだ。ラッセルは、本書で、産業革命の進展によって労働は4時間で充分になったと述べているが、コンピューターがもたらすであろう新たな事態は、さらに労働時間の短縮を可能とするのにちがいない。ただし、この可能性を実現するには、ひとびとに時短の恩恵を平等に配分する社会的仕組みが必要となる。ラッセルは、それを「気の利いた組織sensible organisation」と呼んでいる。では、それが実現したとして、そこに生じる余暇を、いったいどう過ごせばよいのか。余暇をもてあまさない人間を育成すること、それが教育の役割だとラッセルはいっている。まったく、そのとおりだと思う。

芸術表象専攻 教授
北澤 憲昭

著者

バートランド・ラッセル著 ; 堀秀彦, 柿村峻訳


出版社

平凡社


出版年

2009

経験のメタモルフォーゼ : 「自己変成」の教育人間学
No.020

人間の生き方、考え方に影響を及ぼす経験とは何か、人間形成において、「経験すること」の意味を人間学的に考える内容です。本書では、人が他者、異文化、異世界など様々な外部と出会う経験を通して、自己変成を続けていくプロセスを捉えなおしています。
学習の過程、内容、方法などを扱う教授学ではなく、教育を哲学や文化、社会との関係の中で捉える「教育人間学」に出会う一冊になります。

美術教育専攻 准教授
鈴木 淳子

著者

高橋勝


出版社

勁草書房


出版年

2007

マイルス・デイヴィス自伝
No.019

巨匠の自伝はたいていおもしろい。マイルスのこれも例外ではない。飾らない言葉で、まったくもったいぶらずに、あのもの凄い音楽の生み出される舞台裏をあっさり語ってくれる。真実の重み、とはよく耳にする言葉だが、この本くらい、この言葉が当てはまるケースはないんじゃないか。そんな風に感じる。マイルス? 誰、それ。そういうひとのためにアルバムを3点あげておこう。『カインド・オブ・ブルー』、『ビッチェズ・ブリュー』、『TUTU』。まったく作風が違う。まるで別人だ。そしてどれも最高。こんなひとはほかにピカソしかいない。

教養研究室 教授
田桐 正彦

著者

マイルス・デイヴィス, クインシー・トゥループ著 ; 中山康樹訳


出版社

シンコーミュージック・エンタテイメント


出版年

2015

話の話 : ロシア・アニメーションの巨匠ノルシュテイン&ヤールブソワ
No.018

代表作6作品が2K修復版で公開されたことで話題のロシアの偉大なアニメーション作家、ユーリ・ノルシュテイン。彼とその妻ヤーブルソワ(美術監督)のアートワークを集めた展覧会の図録です。(2010年・神奈川県立近代美術館葉山館他)
表題作『話の話』をはじめ、『霧につつまれたハリネズミ』他、20年以上もの歳月をかけ未だ制作中の未完の傑作『外套』など、マルチプレーンカメラ撮影を髣髴とさせる美しい重層を再現した展示の数々が映像さながらの幻想的な世界に導いてくれます。

杉並図書館スタッフ
Y.N

著者

籾山昌夫ほか


出版社

イデッフ


出版年

2010

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