死と墓のイコノロジー:中世後期とルネサンスにおけるトランジ墓
No.014
中世ヨーロッパのトランジ墓(腐乱死体彫刻像墓標)について書かれた珍しい本。
王侯貴族の墓標は、生前宛らのきらびやかな姿の彫像が作られた一方で、身体が朽ち蛇や蛆が這うグロテスクな姿となって表現される流行があった。
謂わばキリスト教版九相図のようで、蛙が顔を覆う異様な姿は一種現代アートにも通じる衝撃を受ける。
ペストの流行により広まった<メメント・モリ>。命と宗教とが深く結びついた中世の人々が死とどう向き合ったかが垣間見える。
トランジの関連書籍は非常に少なく、写真資料も豊富で貴重な一冊。
相模原図書館スタッフ
K.M