記号論への招待
No.051
  • 著 者:池上嘉彦
  • 出版社:岩波新書
  • 出版年:1984年

「言語論的転回」は、人文科学における20世紀最大のパラダイムシフトといわれます。この外界認識にかかる大転換以降、私たち人間にとって、言語を離れて実在する何かを安易に措定することが困難となりました。つまり、言語こそが、私たちの認識を作っていることになります。ならば、「藝術は言葉にできないことこそを表現するもの」といった常套句もまた、安易に使用することが躊躇されてきます。実体論から関係論への認識の変化を知る手がかりとしても本書は最適です。この転回を咀嚼せずに現代アートの考察は虚しいでしょう。

メディア表現領域 非常勤講師
石井 拓洋
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