芸術崇拝の思想:政教分離とヨーロッパの新しい神
No.005
  • 著 者:松宮秀治
  • 出版社:白水社
  • 出版年:2008

藝術には、やはり、どこかエラそうな風情があります。本来、西欧近代主義の所産にすぎぬ藝術概念、つまり、特殊地域的時代的なるもののはずのそれが、一体なぜ、かくも普遍化され、かような高みにまで押し上げられ、ついに神格化されるに至ったか。本書において著者は、近代国民国家が国民統合を図るべく、従来の中世的宗教の代替として、あらたに白羽の矢を立てたものこそが藝術であり、その、いわば藝術宗教というべき様態の「神殿」が美術館であったことを明らにします。今日において、藝術とは何か?を問う者の必読の書です。

大学院美術研究科デザイン専攻 非常勤講師 (音楽文化学)
石井 拓洋
ナマケモノのいる森で
No.004
  • 著 者:アヌック・ボワロベール, ルイ・リゴー仕掛;ソフィー・ストラディ文;松田素子訳
  • 出版社:アノニマ・スタジオ,KTC中央出版
  • 出版年:2012

ナマケモノと森をめぐる物語。ナマケモノが主人公ということでどこかゆる~く、リラックスした雰囲気を味わえます。
しかけ絵本でナマケモノは微動だにしないのですが、ナマケモノを取り巻く環境がページをめくるごとに変化していきます。その仕掛けのすばらしさ!制作者アヌック・ボワロベールさんとルイ・リゴーさんがナマケモノでないことは確かです。

杉並図書館スタッフ
K.M

20世紀美術
No.003
  • 著 者:高階秀爾
  • 出版社:筑摩書房
  • 出版年:1993

「オブジェとイマージュ」「構成と表現」「新しい伝統」「今日の諸潮流」終章という構成になっている。特に、オブジェとイマージュの章については、20世紀美術を分かりやすく解説している。各作家や印象派などグループが意図したことやその試行錯誤のうちに実践されていった経緯を、日常生活、社会そして国際的な動きなど視野に入れて書かれており、まさに「20世紀美術」の優れた解説書である。

芸術学部 非常勤講師
中野 仁詞
何者
No.002
  • 著 者:朝井リョウ
  • 出版社:新潮社
  • 出版年:2012

就活をめぐる友人同士の人間関係を中心に、人間の心の闇をSNSを通して描写する物語。
後半に読者を裏切る展開があり、「自分は主人公と同じなのでは。」と、読んでいて辛くなるかもしれないが、自分が「何者」なのか考えたい人、今時の若者の考え方を知りたいという人にオススメ。

相模原図書館スタッフ
I.A

悲しき熱帯
No.001
  • 著 者:レヴィ=ストロース著 ; 川田順造訳
  • 出版社:中央公論新社
  • 出版年:2001

私は物事をシンプルに理解しようとする性向があります。モダンデザインの影響でしょう。割算で言えば、商が大事で余りはその次です。でも世の中は割り切れないことばかりです。レヴィ=ストロースの主要研究は、時に強引な記号化が批判されますが、この本は「余り」を大事にしています。私にとっては、現代人の思う「自然の風景」は「本当の自然」なのか、という気づきがあったことが今でも大事な財産です。割り切れていない分、人によってさまざまな気づきが得られると思います。彼の芸術観も語られていて興味深い本でもあります。私が読んだのは別の訳書ですが、こちらの方が読みやすい気がしました。

環境デザイン専攻 教授
横山 勝樹
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