「未来派の自由語」 20世紀初頭のイタリアの革新的な芸術運動「未来派」の創始者であるマリネッティの著作で「未来派の自由態の言葉」とも呼ばれる。伝統や従来の芸術の常識を否定した未来派の出版物であるこの書は、簡易な装幀と造本で、マリネッティが人生を捧げた未来派に関する研究と総括に費やされている。指摘表現や文学的表現が用いられており、読みやすい内容ではないが、挿絵の代わりに綴り込まれている4枚の図版で未来派のタイポグラフィを十分に堪能できる。この未来派のタイポグラフィは、その後のロシア構成主義やニュー・タイポグラフィと結びつき、タイポグラフィの世界の変革をもたらしている。