「山上の垂訓」 ジョージ・アシュダウン・オーズリーが、マタイ福音書「山上の垂訓」をテーマに作成した、多色刷石版画による原色版印刷本である。オーズリーは建築家で著述家であり、オーウェンジョーンズが刊行した「アルハンブラ宮殿」と「装飾の文法」の影響を受け、多色石版印刷による出版物を制作しているが、その最初の試みがこの「山上の垂訓」である。石版画家ティムズの着色石版画に美しい装飾と、チャールズ・ロトルの口絵を添えて刊行したもので、近代の多色印刷における初期名作の一つに数えられている。オーズリーはその後「日本の装飾美術」と「日本の陶器」を刊行し、ジャポニスムに大きな影響を与えた日本美術の研究家としても知られている。