「装飾図案術」 「イギリス近代装飾史コレクション」の1つ。ドレッサーの最初のデザイン論で、1862年のロンドン万国博覧会の開催で隆盛した、デザインに対する社会的関心を背景として刊行された。装飾美術の研究を志す画学生の教育の為に著された文献で、エジプトから始まり、ギリシャ、初期キリスト教、ルネサンス、東洋までの文様の歴史を述べ、デザインの有用性、色彩理論などの芸術理論の概説後、家具、天井と壁の装飾、壁紙、絨毯の模様、テーブルクロス、刺繍、陶磁器、ガラス、金工、装身具、ステンドグラスなど、具体性をもった応用例が展開されている。日本美術の影響と本書の出版を機にデレッサーは植物学者からデザイナーへ転進している。初期のデザイン・マニュアル本としても優れ、19世紀に刊行された視覚芸術に関する注目すべき1冊である。本の装丁はデレッサー自身による稀覯書。