芸術崇拝の思想:政教分離とヨーロッパの新しい神
No.005
藝術には、やはり、どこかエラそうな風情があります。本来、西欧近代主義の所産にすぎぬ藝術概念、つまり、特殊地域的時代的なるもののはずのそれが、一体なぜ、かくも普遍化され、かような高みにまで押し上げられ、ついに神格化されるに至ったか。本書において著者は、近代国民国家が国民統合を図るべく、従来の中世的宗教の代替として、あらたに白羽の矢を立てたものこそが藝術であり、その、いわば藝術宗教というべき様態の「神殿」が美術館であったことを明らにします。今日において、藝術とは何か?を問う者の必読の書です。
大学院美術研究科デザイン専攻 非常勤講師 (音楽文化学) | |
石井 拓洋 |