芭蕉七部集評釈・続
No.067
芭蕉の本領は連歌にある。数人が順に五七五、七七、五七五…と詠みついでいく。出来上がるのは共作の詩だが、あらかじめ主題があって、全員がそれを大きな作品にしていく、のではない。あくまでも即興である。詠み手は全体の流れを意識しながら、おもに直前の句への対応として句を詠む。前の句をどう読み、どういう方向へ伸ばすか。そこで、実は詩魂が火花を散らし合っていることを読み解いたのが本書。私自身、若い頃に本書に出会って、衝撃を受けた。拙著『オルレアン公詩歌帖の世界』は本書の影響を引きずっている。
教養研究室 教授 | |
田桐 正彦 |