1月の杉並図書館・特集コーナーのテーマは
「祈りのカタチ ー寿ぐ、悼む、象るー」です。
新しい年を迎え、皆さんも祈る機会があったのではないでしょうか。
古代から現代に至るまで、人は、何かを強く願うことや、生きる喜びや死や病の悲しみ、異界や神仏への憧れ、自然の恵みへの感謝など、さまざまな思いを昇華するための媒体として、祈りの場や偶像、自らの芸術作品に祈りをこめて、さまざまな意匠で表現してきました。
そして、時代、国の風土や文化、宗教によっても、多種多様な表現が存在しています。
新しい年がはじまるこの時期に、さまざまな「祈りのカタチ」をひもといて、自分なりの新たな視点で「祈りのカタチ」を考えてみるのはいかがでしょうか。
その中から3冊ご紹介します。
1. 『林檎の礼拝堂』
世界中の人びとに広く知られ愛される、ガウディのサグラダ・ファミリア教会の制作においても、日本人の彫刻家・外尾悦郎さんが長年重要なメンバーとして活躍されていますが、同じ頃、フランスの片田舎の小さな古い礼拝堂を、美しく蘇らせた日本人芸術家がいます。
田窪恭治さんが、うち捨てられて廃墟と化していた礼拝堂と出会い、村の住民や日本のたくさんの人々の協力を得て、素朴で穏やかな村の風景に調和した新たな祈りの場として再生し、自らの芸術作品としても10年余りの歳月をかけて完成させた、「林檎の礼拝堂」の制作記録です。
2. 『Korean Funerary Figures: Companions for the Journey to the Other World』
古代の偉大な王の埋葬には、人や兵を模った人形(日本では埴輪や土偶、中国では兵馬俑など)を死者と一緒に副葬する風習があったことは広く知られていますが、お隣の国、韓国にも同じように人形を死者と一緒に副葬する文化があるそうです。
韓国ならではの鮮やかな色づかいで彩色された、華やかでありながらも素朴でユーモラスな木彫の人形からは、身近な人の死の悲しみのさなかにあっても、死後の世界への道行が楽しいものであるようにと、その幸せを祈る人びとの、あたたかな思いを感じとることができます。
3. 『祝いのカタチ:100人のパッケージデザイナー』
今の時代の「祈り」の表現とは…?
時代の先端で活躍する100人のパッケージデザイナーが、日本古来の様式美をリスペクトしながらも、自由な発想を駆使し、私たち消費者を惹きつける、ユニークで遊びごころのある作品で、100人100様、それぞれ個性あふれる「祝いのカタチ」や「祈りのカタチ」を表現しています。
図書25冊、DVD(館内視聴のみ)1点です。
受付カウンター脇の特集コーナーをぜひご覧ください。