聖母像の到来
No.056
  • 著 者:若桑みどり
  • 出版社:青土社
  • 出版年:2008

安土桃山時代に来日したイエズス会の布教活動によりカトリック信者は瞬く間に増え、江戸時代初期には数十万人にも達していたという。賛美歌や宗教画も伝わり、日本人信者の手になる聖画像も生まれた。筆者は西洋美術史家としての観点から、キリスト教禁止令を経て徹底的な弾圧を受けた江戸時代末期にいたるまで、日本に到来した聖母マリア像がどのように受容され、変容していったのかを追う。異文化受容の歴史研究であると同時に、弾圧された人々が守り抜いた宗教文化の研究でもある。著者は、博士論文としての提出を目前に急逝。遺著となった。

大学院 非常勤講師
藤原 えりみ
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