こぼれ話

EPISODE こぼれ話


図書館と思い出

芸術学部 美術学科芸術文化専攻 優

 

 小さい頃から私は図書館の虜だった。

 

 私の住んでいた地域は子供の遊ぶ場所があまり多くなかった。小学校のすぐ近くに図書館があったため、図書館が児童館の代わりのようなものだった。父親が読書好きだったこともあり、私も物心ついた頃から図書館に通うようになった。

 

 図書館は様々な本の宝庫であった。色鮮やかな物語の世界の中では、自分と同じ年代の主人公たちがキラキラと輝いていた。私はどんどん本にのめり込んでいった。中でも図書館で一番の楽しみだったのが、週に一回土曜日に行われた読み聞かせ会である。声がつくことで臨場感が加わり、とてもワクワクしたのを覚えている。

 

 図書館では本だけではなく、素敵な人たちにも出会えた。特に、そこで働く司書の方々にはよくしてもらっていた。その中の一人の女性とは、本を借りるたびに他愛のない会話をしたり、読みたい本の場所がわからないときには一緒に探していただいたりと、大変お世話になった。図書館に入るときにその方に挨拶をすると、「はっきりとした挨拶で素敵だね。」と褒めていただいたのが一番嬉しかった。いつもニコニコしている方で、まるで図書館のお母さんのような存在の方だった。

 

 しかし、私が小学校3年生で部活を始めてからは、あまり図書館へ行かなくなってしまった。中学校へ入り、勉強をするために図書館へ久しぶりに行くと、見慣れない司書の方々がたくさんおり、いつもお世話になっていたあの女性の顔も見当たらなかった。不思議に思い、家に帰って母に尋ねると、図書館は町の運営から民間の運営へと変わり、彼女も町の職員だったため図書館から異動になったのであろうと教えてくれた。それを聞いた私はとても寂しく思い、もっと図書館に通えばよかったと後悔した。

 

 時は流れ、私は成人式を迎えた。そこで、思わぬ嬉しい出来事があった。

 

 成人式当日、私は式の実行委員として中学校の恩師の接待の役割を任された。そのとき町の職員と一緒に接待を行って欲しいと紹介されたのが彼女だったのである。突然の再会、しかも私は子供から大人になり気づいてもらえるかどうか不安であったが、彼女は一瞬で私だということに気がついてくださったのである。お互い驚き、再会を喜んだ。彼女は、自分がもうすぐ定年を迎え、町の職員をやめることを話してくれた。しかしその前に私に会え、小さかった私がここまで立派に育ってくれたこと、再会できたこと、そして、私の晴れ着を見ることができたことをまるで我が事のように喜んでくださった。私は長年の後悔がなくなると同時に、心がすっと晴れやかになり温かくなるのを感じた。あ

 

 よく、図書館は素敵な本との出会いの場と言われる。素敵な言葉だが、私はさらに本を通じた人との出会い、繋がりの場でもあるということを付け加えたい。生まれ育った町を引っ越し、一人暮らしを始めた今でも、私は図書館に通い続ける。今日はどんな出会いがあるのだろうかとワクワクしながら。

 

2017年2月16日