このたび、元学長で平成13年に逝去された松島道也先生のご遺志により、その蔵書の寄贈をいただいた。心から感謝することにしたい。 松島先生は、昭和58年から62年まで、平成3年から7年まで、つごう2期8年にわたり学長を務められ、とくに相模原移転後のあわただしいなかでそのまとめ役として、辣腕を振るわれた。とはいえ、今日の女子美にとって、松島先生の最大の貢献は、図書館の蔵書を整備されたことである。図書館長としては、昭和45年から50年まで、さらには芸術学部長を経て、昭和55年から学長となられる58年まで、8年の長きにわたって美術の基本図書、とりわけ西欧美術史の和洋書、雑誌を中心に系統的な方針を立てて、収集に当たられた。じつは図書館長になられる前、フンボルト財団留学生として3年間西独に滞在され、昭和39年に帰国されたのだが、その直後図書館主任として任務に当たられ、さらには学部長、学長の時代にも図書館には足しげく通われて、蔵書の整備に奮闘されたようだ。というわけで、女子美大図書館の歴史を体現しているような先生からの寄贈書である。西欧美術史の重要書が目白押しで、図書館では、松島文庫としてその功績を記念するとともに、広く公開して、学生や教員の学習研究に資するよう整備することにした。大いに利用されることを期待したい。

2004年8月